櫻井桃華研究会

櫻井桃華さんに関する研究を発表します。

櫻井桃華の裏設定② なぜ視線に敏感なのか?

 こちらの記事の続きとなります。

 前記事では、櫻井桃華の「視線への敏感さ」、そしてそれがキャラクター性に深く関わっていることを証明した(はずだ)。
 では、その「視線への敏感さ」を、櫻井桃華はどのように身に付けたのだろうか?
 桃華が持つ、他のアイドルにはない「視線への敏感さ」という性質については、やはり他のアイドルにはない要素に原因を求めるのがふさわしいだろう。
 桃華と他のアイドルたちの最大の相違点は、やはりその生まれ育ちにある。

「○○ちゃま、わたくしのお家は気に入りました?部屋はたくさんあるから住んだっていいんですわよ?」
モバマス』[薔薇色お姫様]櫻井桃華 親愛度MAX演出

 端的に言うと、桃華はとんでもないお金持ちの家に生まれたお嬢様だ。
 しかし、お嬢様だから視線に敏感、と言ってしまえば意味不明だろう。
 シンデレラガールズで言えば西園寺琴歌も、桃華に引けを取らないお嬢様育ちであるはずだが、彼女は桃華ほど視線に対して敏感な様子を見せることはない。

 そこで私は、桃華が「視線への敏感さ」を身に付けた原因は、櫻井家が桃華に施した「特殊な教育」にあるのではないだろうか、という仮説を立てた。
 本記事では、やはり公式媒体における描写を手掛かりに、その仮説に至った理由を述べていきたい。

 

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『U149』第1話 橘ありすを指差すプロデューサーを注意する桃華。かわいい

「○○ちゃま、お仕事中はエスコートしてくださいます?」
モバマス』[メルヘン&ゴシック]櫻井桃華 お仕事(親愛度MAX時)

「ウフフ、わたくしとしたことが、淑女らしくありませんわね。」
モバマス』[4thアニバーサリー]櫻井桃華 思い出エピソードより


 その上品な物腰からも分かることだが、桃華はかなり厳格な礼儀作法を身に付けているようだ。
 だからこそプロデューサーにも紳士としての礼儀作法、エスコートを要求したりする。
 どこで礼儀作法を身に付けたか、といえば、家で教えられたと考えるのが妥当だろう。お嬢様だから礼儀作法を身に付けている、というのは不自然ではない。
 しかし、どうやら桃華が教え込まれてきたものは、単なる礼儀作法の域には留まっていないように思える。
 

桃華「ヴィジュアルレッスン……わたくし、このレッスンはあまり得意でないかもしれませんわ。トレーナーの方に何度も注意を受けてしまいました。」
桃華「注意を受けた理由は、わたくしもわかっています。理解していてもなかなか上手にできないのは、お恥ずかしい話ですわ。」
桃華「わたくし、人前で表情をあらわにするのは、控えるように教えられましたの。いつも優雅に上品に、微笑みとともにあれ、と。」
桃華「そんなわたくしに、『怒って』や『せつなそうに』など……できるわけがありませんわ。そんな表情、誰にも見せられませんの。」

モバマス櫻井桃華ぷちエピソード Vi1 より ※強調はGo_8yoによる

 「人前で表情をあらわにするな」というのは、十二歳(おそらく、もっと幼い頃からだろう)の桃華に施す教育としては不健全に思えるというか、私はどこか薄ら寒ささえ感じてしまう。
「表情をあらわにするな」など普通子どもに強制するものではないし、「人前で」というのも引っかかる。
 曲解じみているが、「人前でなければ、表情をあらわにしても構わない」のだろうか?

 これだけでは華やかなお嬢様が実は歪んだ教育を受けていた、という、やはりネットで好まれそうな「裏設定」程度の話になってしまいそうだ。

 しかし私はこの教育に、桃華というキャラクターが抱えるある種の「矛盾」に繋がるものを感じた。

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『U149』第5話 撮影で強気な面を見せる桃華に驚くプロデューサー

 桃華Pの諸賢はご存知だろうが、実は桃華は勝ち気で行動的な性格の持ち主である。
 アニメやゲームで勝ち気なお嬢様キャラといえば、高笑いをしているとか、あるいは無愛想にツンとすましている、というのが定石ではないだろうか。
 しかし、桃華はそうではない。彼女自身が言うように、いつも優雅に上品に、微笑みとともにある。私の言う「矛盾」とは、この性格と振る舞いの不一致のことである。
『U149』でも、プロデューサーは、桃華が撮影の際に見せた、「的場(梨沙)さんに負けないくらい」強気な性格に驚いている。桃華の普段の物腰からは想像しにくい面だということだろう。

  私の考えはこうだ。桃華は、おそらく「人前で表情をあらわにするな」を筆頭に、「外面」を繕わせるための教育を受けたのである。
 それも、怒りや切なさの演技が不得手になるほどに厳しく、徹底的に。もしかしたら、礼儀作法すらその一環に過ぎないのかもしれない。
 その教育ゆえに桃華は、「内面」の勝ち気な性格の一方で、「外面」では上品に微笑みを湛えているという、ある種の矛盾を内包するキャラクターになってしまった。
「外面」を繕わせる目的ははっきりしているだろう。すなわち「他人にどのように見られるか」のためである。他にはあるまい。
 桃華は「外面」を身に付けるための厳しい教育を通して、「他人にどのように見られるか」、すなわち「他人の視線」に非常に敏感になってしまったのではないだろうか。


 余談にはなるが、実はさきほど話題に上げた西園寺琴歌も、ぷちエピソードにおいて桃華と同様にビジュアルレッスンに苦戦する様子を見せる。
 しかも、そこで琴歌が明かす苦戦の理由は、桃華と一見似通ったものである。

琴歌「はぁ……難しいですわね、いろいろな表情をするというのは……。だからこそレッスンするのでしょうけれど……。」
琴歌「父から、泣いたり怒ったりするなとよく言われたせいですわ。西園寺家の娘なのだから、いつでも冷静であれ……と。」
モバマス』西園寺琴歌ぷちエピソード Vi2 より

 しかし、琴歌の台詞を字義通りに捉えるならば、琴歌が父に泣いたり怒ったりするなと言われたのは、「いつでも冷静である」ためだ。
 即ち、西園寺家の娘にふさわしい冷静さを身に付けるための、「内面」の教育である。
「人前でなければ表情をあらわにしても構わない」とも取りうる櫻井家の「外面」の教育とは、一見似通っているようで、正反対のものなのである。

 
 以上のようなことから、私は桃華が「視線への敏感さ」を身に付けた理由は、櫻井家で受けた、徹底的に「外面」を繕わせる特殊な(あるいは、歪な)教育のためだという説に至った。

  

「檻の中の鳥は…昔のわたくしのようで。少し、切なくなりますわ」
モバマス』[オープンハート]櫻井桃華+ マイスタジオコメント(親愛度MAX時)